チェンバロ独奏によるヴィヴァルディ協奏曲集 [バロック音楽]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、イタリアバロック音楽を代表する音楽家の一人です。
日本では「四季」があまりに有名になり過ぎましたが。
ヴィヴァルディの名をヨーロッパ中に知らしめたのが作品3の協奏曲集「調和と霊感」の出版でした。曲集は4つのヴァイオリンのための協奏曲、2つヴァイオリンのための協奏曲、ヴァイオリン協奏曲など計12曲の協奏曲が収められています。
この後も、ヴィヴァルディは作品4のヴァイオリン協奏曲集「ストラヴァガンツァ」などの出版を続けますが、その曲集からチェンバロ独奏用に編曲した曲が多数存在します。
一番有名なのが、ヨハン・セバスチャン・バッハのチェンバロ独奏用、オルガン独奏用に編曲した作品群です
実際の話、バッハの編曲等が存在しなければヴィヴァルディの音楽が再発見されることはなかったかもしれません。それくらいすっかり忘れられていました。
バッハは、ヴィヴァルディの協奏曲を編曲することによってヴィヴァルディの協奏曲様式を身に着けていきました。しかしそこはやはりバッハ!編曲にも対位法を用いたりバスを強化することによって一味違った音楽に仕立て直しています。
バッハがヴィヴァルディの協奏曲のスコアを手にしたのはワイマールの宮廷に仕えていたころです。ただこの時バッハが手にしたスコアの中には、現在われわれが知っている曲と違う楽章が含まれています。
例えば、作品4の協奏曲集「ストラヴァガンツァ」の第1番のヴァイオリン協奏曲の第1楽章は違う版を編曲しています。多分初期稿を編曲したのだと思います。それ以外にも作品7の第11番のヴァイオリン協奏曲の第2楽章も違う版を編曲しています。ひょっとすると印刷譜ではなくて写譜を手に入れたのかもしれません。
J.S. バッハ:チェンバロ独奏のための協奏曲集 BWV 972-987
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: CD
上記のCD2枚組は、ヴィヴァルディの協奏曲やマルチェルロの協奏曲などチェンバロ独奏用に編曲した協奏曲を全部含んでいます。バッハの編曲とヴィヴァルディの原曲等を聴き比べるとその差がはっきりすると思います。
Vivaldi: Concertos for Solo Ha
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Pan Classics
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: CD
さて、ここで思うのはバッハ以外にも同じことをした音楽家がいるのではないかということです。
すると上のようなCDを見つけました。
アン・ドーソンという多分イギリス人の女性だと思いますが、チェンバロに編曲したヴィヴァルディの協奏曲集です。
チェンバロの練習曲として編曲されています。こちらの方は、バッハとは違い印刷譜を利用して編曲しています。
練習曲として編曲されているので、バッハと比べると見劣りするかもしれませんが、一聴するには値する曲集だと思います。
彼女以外にもヴィヴァルディの協奏曲を鍵盤楽器独奏用に編曲した音楽家が当時どれだけいたか探してみるのも面白いかもしれませんね。
コメント 0