手持ちの本から―「宮脇俊三著:昭和八年 渋谷駅」 [本]
3月15日、東急東横線渋谷駅が85年の歴史に幕を下ろしました。
そこで思い出したのがこの本です。
はじめは、新書版で出版されたのですが
著者曰く
「あまり売れなかった。」
そうです。
御本人としては、かなりの思い入れがあったようですが出版としては成功しなかったようです。
多分、初版だけ終わったような気がします。
私も持っていましたが、読み過ぎたためかバラバラになってしまい、買い直そうかと思っていた矢先に1995年単行本として改めて出版されました。
内容は、渋谷駅にまつわる著者の思い出が綴られており、ちょっとした自叙伝になっています。
単行本も、現在廃版になっているようで、文庫本があるのかアマゾンで調べてみましたがありませんでした。
渋谷周辺は、東急東横線渋谷駅の廃止により、これから先、大きく変わることが予想されます。亡くなられた著者も大きく変わっていく渋谷周辺にあの世から驚きながら眺めているかもしれません。
宮脇俊三著「昭和八年 渋谷駅」は渋谷駅周辺の昭和一桁から二桁に変わるころの歴史を垣間見させてくれる本となっています。
東急東横線渋谷駅の廃止を機にもう一度、文庫本として出版されることを期待したいと思います。
ちなみに表紙に使われた写真には地上時代の東急東横線渋谷駅と東急百貨店が写っています。
環境問題はなぜウソがまかり通るのか [本]
環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks (024))
- 作者: 武田 邦彦
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/02
- メディア: ペーパーバック
環境問題はなぜウソがまかり通るのか2 (Yosensha Paperbacks (029))
- 作者: 武田邦彦
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2007/09/12
- メディア: ペーパーバック
宮脇俊三・『最長片道切符の旅』取材ノート発見!! [本]
- 鉄道作家で有名な宮脇俊三氏の第2作にあたる『最長片道切符の旅』の取材ノートが発見され出版されることになりました。
- それと同じくして『最長片道切符の旅』も再販されることになりました。
- 鉄道に乗るのが好きな私のような人は是非買うべきだと思います。またこれからそうなる人も、そうでない人も買うべきだと思います。
- 宮脇氏の文章は「これから作家にでもなろうかな・・」と思っている人にとってもいいお手本になると思います。
- 読んでいると汽車に乗っているかのようなリズム感があります。
- 一言言っておきますが、読んでいるうちに汽車に乗りたくなって会社や学校をサボらないようにしてください。
古い書棚から・・・バッハ―伝承の謎を追う [本]
彼の業績のひとつに、バッハが死の直前まで手がけていた作品が「ミサ曲ロ短調BWV232」であったことが氏の筆跡鑑定を基にした研究で明らかになりました。それまではフォルケルなどの伝記によって未完の大作「フーガの技法BWV1080」がバッハの最後の作品とされていましたが、その常識を大きく覆すことになりました。
例えばバッハ自身の自筆楽譜が残されていたとします。当然、自筆楽譜であればバッハ自身の作品と思いたくなるのですが、事態はそう簡単には運びません。というのも当時は今と違って出版される楽譜自体が少なくて手書きコピーによって世間に広まるのが一般的でした。当然、バッハも人様の作品を写譜してはコレクションを増やしたり演奏にそのまま使ったりしていました。時には人様の作品の歌詞だけをかえただけで上演したこともあります。おまけにバッハ家は代々音楽家の家系で多くの音楽家を輩出している関係上、身内の作品が紛れ込んでいる場合もあります。
以上のことからも例え自筆楽譜が残されていたとしても、本当にバッハの真作かどうか調べなくてはいけない場合があるのです。逆に自筆楽譜が残されていなくても楽譜の伝承のしかたによっては真作の場合もあります。
この本では、具体的な例をあげて今までの議論の経緯などを説明しています。
古い書棚から・・・スフィンクスの嘆き―バッハの生涯と作品 [本]
この本の中で私がもっとも関心を寄せて読んだのがバッハとリヒャルト・ワーグナーとの関係です。ワーグナーは19世紀後半に活躍した音楽家です。作品には「トリスタンとイゾルデ」、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」などの楽劇と呼ばれる作品があります。
一昔前までは、ワーグナーはバッハに対してあまり関心を寄せていなかったと信じられていました。しかしこの本によると、ワーグナーの妻コジマの日記からワーグナーは年を取るにつれて段々とバッハへの傾倒を強めていったようです。
ではどうして・・・・・・。理由はこの本を読んでいただくとわかると思いますのでこの辺で・・・
古い書棚から・・・超高速に挑む―新幹線開発に賭けた男たち。 [本]
新幹線開通に至る経緯を扱っている本は他にも色々とありますが、大きな流れはどの本を読んでも一緒だと思います。
開業当時、三島駅はできていませんでしたが将来の需要を見込んで駅用地を事前に購入していたのを会計検査院が
「無駄遣い」
と指摘したそうです。でも後に三島駅は開業していますからこの指摘は間違っていたことになります。おまけに土地の値段が上がる前に購入していたとすれば余分な費用を使わずに済んだことになりますからこの点から見ても会計検査院の指摘はおかしいということになります。そういえば、最近「無駄な道路」の話がよく出てきますが、会計検査院が「無駄な道路」と指摘した話をあまり聞きません。これは会計検査院の仕組みが多分そう言わせているのだと思います。
ではいったい会計検査院にとっての無駄遣いとは・・・。と言いたいのですがこの辺で止めときます。
次に報道についてですが、朝日新聞は、東海道新幹線建設当時から
「20世紀の万里の長城」
と批判し続けました。開業後も東海道新幹線が黒字化するまで色々と批判していたそうです。そして黒字化以後はピタッと批判を止めてしまったそうです。
報道が批判することは別に何の問題もありません。おおいにやるべきだと思います。しかし批判するには批判するための根拠が必要となってきます。もしその根拠が間違っていたり、あるいはその根拠が時間と共に変化していたならば当然報道は読者に対してそれを知らしめる義務を負うと思います。仮に間違ったままの根拠を示しておきながらそれを修正しないでほったらかしにしていれば読者は間違ったままの根拠で物事を判断することになります。場合によってはそのために不利益を被るかもしれません。その時はたして報道は責任を取れるのでしょうか。
さて最後に
実はこの本、廃刊になっている惧れがあります。もっとも先にも書きましたが東海道新幹線に関する著書は他にもたくさんありますのでそれらを参考に読んで頂ければいいのではと思っています。
「夢の超特急」、走る!―新幹線を作った男たち (文春文庫 い 68-1)
- 作者: 碇 義朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
新幹線をつくった男 島秀雄物語 (Lapita Books)
- 作者: 高橋 団吉
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
古い書棚から・・・ヴォルフガング シヴェルブシュ氏の著書の紹介 [本]
この本は19世紀ヨーロッパにおけるガス燈と電燈の発展と当時の人々がどのようにしてそれらを受け入れたかについて書かれています。
おもしろいのは、日本人とヨーロッパ人との照明としての炎の扱い方に差があることです。
ヨーロッパ人(中国なども含むかもしれませんが)は、松明のように炎をむき出しして使うのに対して日本人は炎を行灯や提灯のように包んで使うという差があります。
1867年、当時の江戸幕府(15代将軍徳川慶喜の時)はその年に行われたパリ万博に使節をおくりパリ万博に参加しています。多分この前後に日本の「炎を包む」文化がヨーロッパに伝わり、例えば裸火で使っていたガス燈や電燈に笠をかぶせて強い光をやわらかい光に変えて使うようになったと考えられます。(カーテンは提灯がヒントになって生まれたという説があるそうです)
光に対する日本人とヨーロッパ人の違いを知る上でもおもしろい著書だと思います。
追記