モダン楽器で聞くヴィヴァルディとコレルリ [バロック音楽]
CD二種類のヴィヴァルディの協奏曲集 [バロック音楽]
Vivaldi: Concerti per due violini e archi I
- アーティスト: Antonio Vivaldi,Riccardo Minasi,Il Pomo d'Oro,Dmitry Sinkovsky
- 出版社/メーカー: Naive
- 発売日: 2013/11/30
- メディア: CD
Vivaldi: Complete Cello Concer
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Brilliant Classics
- 発売日: 2015/02/24
- メディア: CD
最近買ったヴィヴァルディの協奏曲集のCDです。
上のCDは2つヴァイオリンのための協奏曲集の第1集です。ヴィヴァルディは約50曲近くの2つのヴァイオリンのための協奏曲を作曲しているので、全曲録音には少々時間がかかるのではないでしょうか。
下のCDは、チェロ協奏曲の全集でCED4枚組です。
両方のヴィヴァルディの演奏について言えることですが、とにかく新鮮!釣り上げられた魚のごとく、ぴちぴちと飛び跳ねながら演奏しています。
2つのヴァイオリンのための協奏曲のジャケットの女性がドミトリー・シンコフスキーさんなのでしょうか?ヴィヴァルディのヴァイオリンのための協奏曲集も録音していて、そのジャケットを見ると彼女が斬新なスタイルで登場します。
両方のCDについて言えることですが、一昔前のように楽譜に忠実に演奏ではなく、かなり大胆な演奏を聞かせてくれます。ある意味自由に演奏することはバロック音楽の神髄を極めているのかもしれません。
2つのヴァイオリンのための協奏曲集第1集は、その点、パーフェクトと言っていいかもしれません。無責任に言うと推奨版にしてもいいと思うくらいの演奏だと思います。
ただひとつ気になったのが、チェロ協奏曲全集の方です。
何が、気になったかというと演奏ではなくて、各パートが一人で演奏しているということです。
バッハとは違い、ヴィヴァルディは環境に恵まれていました。バッハのブランデンブルク協奏曲第5番を各パートを一人づつ演奏するのは、当時の状況を再現して演奏していると考えられるのでいいと思うのですが、ヴィヴァルディの協奏曲にこの手法を持ち込むのはやはり間違いだと思います。
つまり、ヴィヴァルディが得意としたバロック音楽特有のソロとオーケストラの対比がきれいに描き出されてないように思います。演奏自体いいので余計にそう思います。
自由に演奏すること自体いいことだと思うのですが、曲の背景だけはしっかいりと押さえた上での演奏をすべきだと思います。ヴィヴァルディ自身も後世の人達ににこれだけは守って演奏してほしいと考えているのではないでしょうか。
ブクステフーデ:ハープシコード曲全集を聞いて [バロック音楽]
ディートリヒ・ブクステフーデ/ Dieterich Buxtehude (1637-1707)は、ドイツバロック音楽を代表する音楽家の一人です。
ブクステフーデの素性について、私はまったく言っていいほど何も知りません。ただ、J.S.バッハが、彼の作品に敬意を表していたということだけは知っています。
今回、シモーネ・ステッラのハープシコード演奏によるハープシコード曲全集を買いましたが、全集と言ってもCD4枚組で収まる量です。ステッラによるオルガン全集は確かCD5枚組で収まる量です。多作家の作曲家ではなかったようです。多分、教会での勤務が長かったからかもしれません。
曲を聴いて思うことは、ブクステフーデっていう人、ものすごく温厚な人だったような気がします。とにかく曲を聞くとホッとする気がします。
組曲が20曲あまり、変奏曲が10曲ちょっと、あとトッカータなどの小品が収められています。
組曲は、いわゆるフランス風組曲です。アルマンド・クーラント・サラバンド・ジーグが基本形で作曲されています。
どういう動機で、変奏曲を作曲したのかわかりませんが、ブクステフーデにとっては大事な形式だったようです。特に、アリア「ラ・カプリッチョーザ」による32の変奏曲 ト長調 BuxWV 250は、演奏に約30分も必要な大作です。
組曲を聴いていると、やさしい調べなのですが、随所に対位法を駆使して作曲されており、多分演奏家泣かせの音楽だと思います、ひょっとするとバッハもブクステフーデの作曲技法に感銘していたのかもしれません。
チェンバロ独奏によるヴィヴァルディ協奏曲集 [バロック音楽]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、イタリアバロック音楽を代表する音楽家の一人です。
日本では「四季」があまりに有名になり過ぎましたが。
ヴィヴァルディの名をヨーロッパ中に知らしめたのが作品3の協奏曲集「調和と霊感」の出版でした。曲集は4つのヴァイオリンのための協奏曲、2つヴァイオリンのための協奏曲、ヴァイオリン協奏曲など計12曲の協奏曲が収められています。
この後も、ヴィヴァルディは作品4のヴァイオリン協奏曲集「ストラヴァガンツァ」などの出版を続けますが、その曲集からチェンバロ独奏用に編曲した曲が多数存在します。
一番有名なのが、ヨハン・セバスチャン・バッハのチェンバロ独奏用、オルガン独奏用に編曲した作品群です
実際の話、バッハの編曲等が存在しなければヴィヴァルディの音楽が再発見されることはなかったかもしれません。それくらいすっかり忘れられていました。
バッハは、ヴィヴァルディの協奏曲を編曲することによってヴィヴァルディの協奏曲様式を身に着けていきました。しかしそこはやはりバッハ!編曲にも対位法を用いたりバスを強化することによって一味違った音楽に仕立て直しています。
バッハがヴィヴァルディの協奏曲のスコアを手にしたのはワイマールの宮廷に仕えていたころです。ただこの時バッハが手にしたスコアの中には、現在われわれが知っている曲と違う楽章が含まれています。
例えば、作品4の協奏曲集「ストラヴァガンツァ」の第1番のヴァイオリン協奏曲の第1楽章は違う版を編曲しています。多分初期稿を編曲したのだと思います。それ以外にも作品7の第11番のヴァイオリン協奏曲の第2楽章も違う版を編曲しています。ひょっとすると印刷譜ではなくて写譜を手に入れたのかもしれません。
J.S. バッハ:チェンバロ独奏のための協奏曲集 BWV 972-987
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: CD
上記のCD2枚組は、ヴィヴァルディの協奏曲やマルチェルロの協奏曲などチェンバロ独奏用に編曲した協奏曲を全部含んでいます。バッハの編曲とヴィヴァルディの原曲等を聴き比べるとその差がはっきりすると思います。
Vivaldi: Concertos for Solo Ha
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Pan Classics
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: CD
さて、ここで思うのはバッハ以外にも同じことをした音楽家がいるのではないかということです。
すると上のようなCDを見つけました。
アン・ドーソンという多分イギリス人の女性だと思いますが、チェンバロに編曲したヴィヴァルディの協奏曲集です。
チェンバロの練習曲として編曲されています。こちらの方は、バッハとは違い印刷譜を利用して編曲しています。
練習曲として編曲されているので、バッハと比べると見劣りするかもしれませんが、一聴するには値する曲集だと思います。
彼女以外にもヴィヴァルディの協奏曲を鍵盤楽器独奏用に編曲した音楽家が当時どれだけいたか探してみるのも面白いかもしれませんね。
ヴィヴァルディのオペラのための序曲集 [バロック音楽]
上記のCDはヴィヴァルディのオペラのための序曲を録音したものです。
曲目は下記の通りです。
忠実なニンフ
・ポントの女王アルシルダ
・ジュスティーノ
・バヤゼット
・オリンピアーデ
・祝されたセーナ
・グリセルダ
・テウッツォーネ
・館のオットーネ
・ファルナーチェ
・ダリウスの戴冠
・エジプト戦場のアルミーダ
・テンペのドリッラ より
ここに収録されている曲を聞くと聞いたことあるフレーズが登場します。
例えば冒頭の「忠実なニンフ」序曲は、後にヴァイオリンと弦楽合奏と通奏低音のための協奏曲「海の嵐」に受け継がれますし、一番最後に収められている「テンペのドリッラ」より第3楽章は、ヴィヴァルディの代表作と言っても過言ではない作品8の第1番「春」の第1楽章の冒頭と同じメロディが使われています。多分オペラの序曲が先にあって後に四季に使われたのだろうと私は思っています。
上記の2曲以外にも、他の協奏曲等に編曲された序曲も私の分かる限りあと2曲あります。
ヴィヴァルディにとってオペラは重要な作品だったのでしょう。序曲から色々な楽曲への転用によってもそのことがわかると思います。
演奏の方は、はっきり言ってにぎやかです。冒頭の「忠実なニンフ」では金管楽器(ホルン)が活発に演奏しているので特にそう思います。
普段めったに聞くことのないヴィヴァルディの音楽かもしれません。
尚、トラック5の1分30秒過ぎ辺りに、製造過程で混入したと思われるポップノイズがあります。たまたま私の買ったCDだけなのかロット全部に混入しているかは現時点ではわかりません。
以上の点のみ御注意ください。
カール・リヒターのバッハ [バロック音楽]
カール・リヒター(1926~1981)は、ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685~1750)のスペシャリストとして知られているオルガニスト兼指揮者として活躍した音楽家です。
私が、J.S.BACHの音楽を初めて知ったのが、彼の録音した作品からのピックアップ版レコード(LP)でした。収録されていた曲は、ブランデンブルク協奏曲第5番の第1楽章、管弦楽組曲第3番終曲のジーグ、マタイ受難曲の終曲等などが収められていました。私はこの中でブランデンブルク協奏曲第5番の第1楽章が飛び切り好きな曲になってしまいました。ニコレのフルートの柔らかさ、リヒターのチェンバロの溌溂さ、ミュンヘン・バッハ・管弦楽団の切れの良さにすっかりと魅了されてしまいました。
あれからかなり長い時間が過ぎましたが、その間私はバッハの音楽やヴィヴァルディ、ベートーヴェン、モーツァルト、マーラー、ブルックナーなどの曲を聴くようになりました。もっとも最近は、バッハの子供たちと遊んでいる時間の方が長くなっていますが。
リヒターと言えば、やはりマタイ受難曲の録音と言うことになると思います。特に初回録音に関しては評価が高く、今でもマタイ受難曲のベスト盤と言われています。晩年ビデオ等にも録音を残していますが、初期のような切れの良さが影を潜め、ロマン的な演奏になったと言われています。晩年は相当体調が悪かったようで、オルガンリサイタルで単独で来日した時、演奏にミスが目立ったそうです。一から弾き直す場面もあったそうです。体調の不良が多分、彼の演奏をロマン的な演奏に変えたのかもしれません。
この録音以降も色々な団体によってマタイ受難曲は録音されていますが、どの団体もやはりリヒターのマタイ受難曲を色々な意味で意識して録音しているのではないかと言われています。
クリスマスシーズンと言うことでクリスマス・オラトリオを取り上げますが、一時期クリスマスシーズンになるとヘンデルの「メサイヤ」がよく演奏されていました。日本でバッハのクリスマスオラトリオがクリスマスシーズンで演奏されるようになったのはそんなに古い話ではありません。多分演奏が難しかったからかもしれません。特にモダン楽器で演奏する場合金管楽器の演奏が大変難しかったからかもしれません。
リヒターのクリスマスオラトリオもやはりマタイ受難曲と同様切れの良さが特徴と言えます。マタイ受難曲とは違い喜びの音楽であることからそのキレの良さが喜びを表現するにはうってつけのような気がします。
本当は、ここでブランデンブルク協奏曲全曲盤を表示したかったのですが、残念ながらアマゾンに新品がありませんでした。
リヒターブランデンブルク協奏曲のように管弦楽だけの作品も録音していますが、評価としては合唱曲ほど高くはありません。リヒターの演奏方法が逆に曲の良さを半減させている場面もあるようです。ただ最初に書きましたが、ブランデンブルク協奏曲第5番の第1楽章に関しては、オーレル・ニコレのフルートの音色の柔らかさがリヒターのリズム感とマッチしていい演奏になっていると思います。
話しがそれますが、実を言うと私はリヒターの録音の内クリスマスオラトリオのみCDで買うのを忘れていました。そこで新たに買い直そうと考えているのですが、不思議と再販されるのはいいのですがやはり値段は高いまま設定されているのが現状です。(CD3枚組で税込みで6000円を軽く超えます。)
普通クラシックのCDの場合、何かしら手を加えて売り出すとき以外は、再販の場合値段が安くなるのが普通なのですがどーもカール・リヒターのCDに関してはそれが当てはまらないようです。今回も来月再販されるようですがやはり・・・。
やはりこの値段でも買いたいと思う人がいるということは、やはりカール・リヒターの演奏は「凄い」としか言いようがないようです。
今回は、どうもまとまりのない話になってしまい申し訳ございませんでした。
パッヘルベルのカノン [バロック音楽]
ヨハン・パッヘルベル(1653~1706)と言うと、どうしても「パッヘルベルのカノン」が有名でこれほど世間に浸透した音楽はないと思います。結婚式場やホテルなどでBGMとしてよく流されているからです。
しかし原曲は、カノンだけでなくその後に軽快なジーグがついています。
正式なタイトルは、「三つヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ」と言います。BGMで流されている「パッヘルベルのカノン」は、BGMに合うようにある程度アレンジされているようです。
さてカノンを少しだけ詳しく見てみるとカノンであると同時に変奏曲でもあります。最初に通奏低音が主題を提示その後三つのヴァイオリンがカノンを繰り広げながら通奏低音の主題を変奏していきます。パッサカリア風もしくはシャコンヌ風と言うべきでしょうか。原曲を聞くと案外あっさりした印象を受けるのは私だけでしょうか。カノンの後に続く軽快なジーグは、カノンがどちらかと言うと静の音楽なのに対して軽快な動の音楽と言えると思います。二つの曲のさわやかな対比が面白いところかもしれません。
- アーティスト: Johann Pachelbel,Charles Medlam,London Baroque
- 出版社/メーカー: Harmonia Mundi Fr.
- 発売日: 2006/07/11
- メディア: CD
上記のCDはロンドン・バロックによるパッヘルベルの室内楽集です。
収録されている曲目は、5声のパルティータが1曲、4声のパルティータが2曲、音楽の楽しみ(パルティータ集第1番~6番)、カノンとジーグ(順不同)です。
室内楽曲ばかり集めためずらしいCDです。私はさほどパッヘルベルの作品は知りませんが、これ以外に協奏曲等の作品があれば是非とも聞いてみたいと思います。
アルビノーニのCDを集めようとおもうのですが・・・ [バロック音楽]
トマゾ・ジョヴァンニ・アルビノーニ(1671-1751)は、イタリアバロック音楽を代表する作曲家の一人です。
当時絶大な人気のあったヴィヴァルディ(1678-1741)と同時代の音楽家でもあります。もっともヴィヴァルディにしてもJ.S.BACH(1685-1750)にしても、彼の人生の後輩に当たりますが、その後輩よりも長生きした人でもあります。
アルビノーニとヴィヴァルディの音楽を比べるとかなりの差があることがわかります。この差は、音楽に対する接し方の違いから生まれたものだと思います。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: CPO
- 発売日: 2001/04/01
- メディア: CD
ヴィヴァルディの場合、作曲することにより収入を得ようとしました。当然そのためには人々に受け入れられる曲を作る必要がありました。初期のヴィヴァルディは作品を出版することで収入を得ようとしましたが、現在と違い当時は著作権という概念がなく、すぐに海賊版が氾濫し、思ったほどの収入にはならなかったようです。そこでヴィヴァルディは出版をやめて写譜を売って収入を得るようになりました。実際そのほうが儲かったそうです。今日残されている出版された作品集のうち、初期の作品集を除けばどこまでヴィヴァルディが出版に係わっていたかは不明です。当時は、ヴィヴァルディの名がついた作品集は飛ぶように売れたそうですから出版社が勝手に彼の作品を集めて出版した可能性のある作品集もあるようです。作品13のように他の作曲家が勝手に彼の名前を使って作品集を出版することもありました。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 1994/09/19
- メディア: CD
Albinoni: 12 Concertos, op.9 / Hogwood, Manze, et al
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Decca
- 発売日: 1999/10/12
- メディア: CD
アルビノーニ:オーボエ協奏曲全集(3枚組)/Albinoni: Oboe Concertos
- アーティスト: アルビノーニ,ニコル・マット,シュテフファン・シーリ,ジョバンニ・デアンジェリ,タニヤ・ベッカー=ベンダー,スタットガート・チェンバー・オーケストラ,ヨーロピアン・チェンバー・ソロイスツ
- 出版社/メーカー: Brilliant Classics
- 発売日: 2001/12/01
- メディア: CD
作品1 12のトリオソナタ
作品2 6つのシンフォニアと6つの五声の協奏曲
作品3 12の三声の室内舞曲
作品4 ヴァイオリンと通奏低音のための6つの教会ソナタ
作品5 ヴァイオリンと通奏低音のための12の協奏曲
作品6 12のヴァイオリンソナタ
作品7 12の協奏曲集
作品8 6つのソナタと6つの三声の舞曲
作品9 12の協奏曲集
作品10 12の協奏曲集
では、上記の作品をCDで買い揃える事ができるかというと現時点ではほぼ無理というしかありません。
新録音も少なく、いまだにイ・ムジチやイ・ソリスト・ベネティなど往年の録音がカタログに掲載されています。
特に作品2に関しては、6つのシンフォニアの録音だけはありますが、残りの6つの5声のコンチェルトの録音が現時点ではありません。ひょっとするとLP時代から未だに録音されていないのかもしれません。あるいは録音はされているが廃盤のまま今に至っているのかそれすらわかりません。
これから先、時間をかけて探してみようとは思いますが、はたしていつになったら全部そろうのか今のところわかりません。ヴィヴァルディの時は、2年ほどで揃えられましたが今回はどうなるか・・・・。
でも探すのはやはり楽しい作業になるので好きですが。
追記
アルビノーニの作品4のヴァイオリンと通奏低音のためのソナタダキエサですが、作品全体が深い味わいのある仕上がりになっています。
6曲中5曲が短調で作曲されているためかもしれませんが、作品自体人を引き付ける不思議な魅力のある曲となっています。
ヴィヴァルディの協奏曲集作品7 [バロック音楽]
ヴィヴァルディの作品番号付の曲集は1~14までありますが、このうち作品13は偽作というのがわかっています。もう一つ偽作ではないかと疑いたくなるのが作品5のヴァイオリン・ソナタ集です。いわゆる作風がヴィヴァルディらしくなく、もしヴィヴァルディの作品だとすれば若かりし頃の習作かもしれません。
作品番号付でよく録音されるのが作品3「調和の霊感」、四季を含む作品8「和声と創意への試み」、作品10のフルート協奏曲集だと思います。これ以外だと作品4「ストラヴァガンツァ」と作品9「ラ・チェートラ 」がぼちぼち録音されていると思います。やはり作品にタイトルが付いている曲集は人気があるみたいです。
ここで取り上げる作品7は現代のところ上記のイタリア合奏団の録音しかなく、ピリオド楽器によるCDを探していますが、今のところ発見できていないのが実情です。
作品7が出版されたのが1716年~1717年。6曲づつ2巻に分けて出版されたようです。ヴィヴァルディの意思によるものなのかそれとも出版社が勝手に曲集として世に出したかは不明だそうです。余談になりますが初めの頃ヴィヴァルディは積極的に出版していたようですが、当時は今みたいな著作権という概念がなく、海賊版が次から次へと出版されヴィヴァルディ自身思ったほどの実入りにはならなかったようです。ある時期から写譜を売る方が実入りがよいと気づき出版にあまり力を入れなくなったようです。
作品7は第1番と第7番がオーボエ協奏曲でたの10曲はヴァイオリン協奏曲になっています。
ヨハン・セバスチャン・バッハは、この中の第8番ト長調のヴァイオリン協奏曲をチェンバロ独奏のための協奏曲BWV973に、第11番ニ長調のヴァイオリン協奏曲をオルガン独奏のための協奏曲BWV594に編曲しています。
作品7は、作品3のような革新的だはなく、どちらかというとオーソドックスな曲集と言えるかもしれません。それでもやはりヴィヴァルディのあののびのびとした屈託のない作風が全面に表れていると思います。私自身この曲集を結構気に入って聞いています。(特に後半6曲を)
是非一度、聞いていただきたい曲集だと思います。
最後にサンプルとして第12番ニ長調のヴァイオリン協奏曲の第1楽章の冒頭部分約30秒弱を載せておきます。作品7の中で私の一番のお気に入りの曲です。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
全曲を聞きたい御方は、イタリア合奏団のCDをお買い求めください。
コレッリの作品全集 [バロック音楽]
作品1から作品4までは、2台のヴァイオリンと通奏低音のための12のトリオソナタ。作品5がヴァイオリンと通奏低音のための12のソナタ。作品6が弦楽と通奏低音のための12の合奏協奏曲集。それ以外に作品番号のないトリオソナタなど9曲程残しています。
- アーティスト: George Frideric Handel,Giovanni Antonini,Giardino Armonico Ensemble
- 出版社/メーカー: Dg Imports
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: CD