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麒麟の出鱈目経済学6・本当は怖い円キャリートレード [出鱈目経済学]

円キャリートレード(略して円キャリ)とは、円を売ってある外国の通貨を買い、その通貨をその国の株式や国債に投資するとか、あるいは銀行に預けて利益を得ようとする行為ののことです。どうして円キャリが行われるかというと、日本の預金金利が極端に低いこと、あるいは株式での運用利回りの低さなどが原因とかんがえられます。
例えばある国の銀行金利が5㌫だっとします。日本の銀行金利は確か0.5㌫でしたから10倍の金利を受け取ることができます。もし簡単に世界中の銀行に預け入れできたならば日本の銀行や郵貯などはたちまち苦境に立たされることになるでしょう。ついでに言うと国内からどんどんお金が外国へ出て行くことになります。そうなると国内の企業はかなりきびしい資金調達をせまられることになるでしょう。

さて外貨でで運用するときに一番の問題になるのが為替レートです。
例えばN国の通貨1ドルが100円だったとします。
100万円をN国通貨に両替すると1万ドルになります。それをN国の銀行で金利5㌫で1年間預けたとします。
1年後満期になって1万500ドルを受け取ったとします。この時の為替のレートが円安で1ドル105円になっていたとすると、円で受け取れる額がなんと110、2500円になります。円安のおかげで約5万円多く受け取ることができます。では逆の1ドル95円の円高になったとするとこれがなんと99、7500円になってしまいます。利息どころか元本も割ってしまうことになります。実際にはこれに手数料等が掛かってきますからもう少し損をすることになるでしょう。こう見てみると為替の変動がいかに大きな影響を与えるか分かっていただけると思います。
上記の内容は、個人を想定して書いていますが忘れてならないのがヘッジファンドなどの投資グループです。特に彼らの動きによってはとんでもない事態が発生したりします。
ヘッジファンドはどのような投資スタイルをとるか一例を挙げると、まず低金利の円を借りて資金を調達しそれを米ドルに替えます。そしてそのドルを持って世界中の株式や国債、商品先物に投資し、それによって利益を得ようとします。ヘッジファンドを見てみると小中規模のファンドがほとんどで大規模ファンドなどは珍しい方かもしれません。(小中規模ファンドと言っていますが残念ながらその規模を私は知りません。しかし最近できた大規模ファンドは総投資額が日本円で3兆円を超えると言っていましたから多分小規模と言っても投資総額は1ファンドあたり100億円を超えると思われます。あくまで個人的推測ですが)
いつだったかテレビを見ていたときにコメンテーターが円キャリートレードの始まった時期を小泉内閣ができた頃からと言っていましたが、実際には1995年の末か1996年ごろにはヘッジファンドによる円キャリがもう始まっていたと思われます。ただ、個人を対象に見た場合は小泉内閣ができた頃から始まったとみていいのかもしれません。
さて、このヘッジファンド、景気のいいときには経済発展をよりいっそう発展させる力がありますがその一方でその国経済を滅茶苦茶してしまうほどの力もあります。ちょっと違うかもしれませんが薬でもあり毒でもあるのがヘッジファンドなのです。
その昔、アジア通貨危機というのがありました。その通貨危機を起こしたのがまさしくヘッジファンドでありその資金となったのが円キャリで調達した円だったのです。
実をいうとアジア通貨危機が起こる前にIMFがヘッジファンドが日本から資金を調達していることに注意すべきという報告書をまとめていたのですが、残念ながら当時のマスコミはその報告書を読まなかったのか、あるいは知らなかったのか、または無視したかしりませんが報道しませんでした。マスコミで報道されたのはアジア通貨危機が起こった後でした。
ではどうしてアジア通貨危機が起こったのでしょうか。憶測ですが日銀が政策金利を引き上げたのが原因ではないかと私は思っています。つまり変動金利で資金を調達していたファンドにとって金利が上がるということは調達コストが増すということですからその前に利益を確定したかった。そのために利益確定のための売りを一斉にしたのではないかと思えるのです。もっとも確証はありませんが。(そこが出鱈目経済のいいところ)
この後、為替を見ていると借りた資金を返すために円高になっていったことを覚えています。

現在、世界では、ジャパンマネーのほかオイルマネー、チャイナマネーなどなどが運営されています。これらを合わせた総額が約300兆円、実に日本の国家予算の4倍弱に相当します。おまけに現在では電子取引がメインですからこれらのお金が一瞬にして世界中を駆けめくります。
そしてその結果・・・・・。
現在、円キャリートレードで国外に出ている金額が約40兆円から50兆円くらいあるといわれています。世界の資金のうち約13㌫から17㌫を占める金額になります。
もし、例えば何らかの理由で国外で運用していた資金のほとんどが国内に帰ってきたとします。そのことによって世界で運用されている資金の一角が抜けることになります。当然資金を回収された国では株が暴落し債券の値打ちが下がってしまします。最悪の場合国家破産ってこともありゆるかもしれません。多分そうなれば他のマネーも損失を恐れて資金を回収することになるでしょう。そうなればいっぺんに世界中が信用収縮になってしまい大きな金融恐慌がくるかもしれません。

先程「例えば何らかの理由で・・・・」と書きましたがそのひとつとして日銀の政策金利をあげておきましょう。現在日本の政策金利は世界中の国々と比べて圧倒的に低くなっています。これが国外に資金を流失させている原因のひとつとなっています。仮に金利を大きく上げたとしましょう。そうすると国外で運用されていた資金が一気に国内に帰ってくることになるかもしれません。つまり「アジア危機の再来」と同じことが世界のあちこちで起きるかもしれません。つまり日銀の金利政策は、国内だけの問題だけでなく国外でも大きな問題を引き起こすかもしれません。それだけ日銀の金利政策は世界にとって重要なことなのです。

最後に、日本は世界経済に大きな影響を与えるくらいに大きくなってしまいました。しかしいまだに多くの日本人がそのことに気付いていないように思います。大袈裟に言っていいならば我々の立ち振る舞いによっては世界中を不安定してしまう可能性すらあります。しかし当然その逆もありですけどね・・・・。
では今回はこの辺で・・・・。


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