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借金話を聞くと思い出す人・・・・内田百閒 [雑感]

最近、テレビでよく見るCMに弁護士事務所の「払った金利を取り戻せるかもしれません」というのがあります。利息制限法もしくは出資法の改正で払いすぎた利息を取り戻せるようになったのがCM放送を生むようになったようです。
最近新聞で読んだのは6月からの貸金業法の完全施行を受けて融資を受けられなく人が多数発生するようになるだろうと言うことです。特に収入のない主婦たちにとっては1万円のキャッシングもできなくなるということになりそうなので給料日前の財布の中が一時的に苦しい時に利用できなくなるのは主婦たちにとっては大変つらい事になるかもしれません。特に身近に取引先の銀行の本支店がない場合、いちいち車やバスなどを使って小額の預金を下ろしに行かなければなりません。場合によっては移動費だけで支払い金利を軽くオーバーする人もでてくるかもしれません。

話が違う方向へ行きそうなのでここで止めますが、借金に関連した話を聞くと私は随筆家で作家の内田百閒のことを頭に思い浮かべます。戦前百閒先生は、日本のホフマンと称せられていました。もともと百閒先生は夏目漱石の門弟であり、そしてその時知り合いになった芥川龍之介とは親友関係にあったそうです。内田百閒の代表作はなんと言っても「阿房列車」シリーズだと私は思います。日本初の鉄道紀行文学でもあります。
ところがこの百閒先生、若い時から高利貸しなどから多額の借金をしていました。もっともその借金が作品のネタにもなっているのですからちゃっかりしていると言ってもいいかもしれません。

百閒先生は自分の作品の中で借金について色々と書いています。
阿房列車シリーズの第一作「特別阿房列車」の中で借金に関する記述があるのでここで紹介します。

 「そもそもお金の貸し借りと云ふのは六づかしいもので、元来は有る所から無い所へ移動させて貰ふだけの事なのだが、素人が下手をすると、後で自分で腹を立てて見たり、相手の気特をそこねたりする結果になる。友人に金を貸すと、金も友達も失ふと云ふ筍言なぞは、下手がお金をいぢくつた時の戒めに過ぎない。
一番いけないのは、必要なお金を借りようとする事である。借りられなければ困るし、貸さなければ腹が立つ。又同じいる金でも、その必要になった原因に色色あって、道楽の挙げ句だとか、好きな女に入れ揚げた穴埋めなどと云ふのは性質のいい方で、地道な生活の結果脚が出て家賃が溜まり、米屋に払へないと云ふのは最もいけない。私が若い時暮らしに困り、借金しようとしてゐる時、友人がかう云つた。だれが君に貸すものか。放蕩したと云ふではなし、月給が少くて生活費がかさんだと云ふのでは、そんな金をかりたつて返せる見込みは初めから有りやせん。」

どうですか。含蓄深い言葉と思いませんか。特に生活費が足らなくて借金をしたら返済するのは難しいというのはまさしくその通りだと思います。
よく言われていることですが、生活費に困った時は出費について点検すべきだと言われています。例えばもしあなたが毎日ビールを一缶飲んだとします。これを二日に一回にすると月3000円の節約になります。このようにして少しづつ出費を見直していくと意外と無駄に使っているお金があるのがわかってくると思います。逆に極端に出費を抑えると生活がギクシャクしてくるので無理は禁物だと思います。

最近、スーパーなどでレシートを捨ててある光景をよく見るようになりました。
節約するにはレシートと家計簿の二つを用意する必要があるのですが、本当にやりくりをうまくやっているのでしょうか。捨ててあるレシートを見るとそう思いたくなります。

話を変えますが、このブログを書く気になったのは、実は地下鉄内で見た弁護士事務所の広告を見たからです。
読んでいると「生活費足らなくなってサラ金から借金した。」ここまではいいのですがその後がおかしい。「返済した後、払いすぎた利息を取り戻せると聞いて広告主の弁護士に依頼したら見事に払いすぎた利息を取り戻してくれた。」
もし、本当に生活費が足らなくてサラ金に手を出したのならば、その後の事が百閒先生の言っている事と矛盾することになります。つまりこの広告の内容は「おかしい?」。多分本当は競馬か何かで金を使いすぎてサラ金に手を出した。しかしそれなりの収入があったからサラ金に返済できた。と裏読みしたのですが・・・・・。

最後に百閒先生の作品を御紹介しておきます。

第一阿房列車 (新潮文庫)

第一阿房列車 (新潮文庫)

  • 作者: 内田 百けん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 文庫

第三阿房列車 (新潮文庫)

第三阿房列車 (新潮文庫)

  • 作者: 内田 百けん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫
贋作吾輩は猫である (1950年)

贋作吾輩は猫である (1950年)

  • 作者: 内田 百間
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1950
  • メディア: -
百閒先生の作品は、色々な出版社から出版されているので比較的手に入れやすいと思います。
鉄道ファンの方なら「阿房列車」シリーズは絶対に読むべきバイブルだと思います。

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