ガルッピのチェンバロ協奏曲について [バロック音楽]
チェンバロ協奏曲(もしくはハープシコード協奏曲)は、音楽史上ヨハン・セバスチャン・バッハが初めて作曲したと言われています。現在ブランデンブルク協奏曲第5番と知られている作品がそれにあたります。
チェンバロはピアノの前身の楽器と言われていますが、構造上まるっきりふたつは違います。ピアノは絃をハンマーでたたいて音を出すのに対してチェンバロは絃をジャックとよばれる爪でひっかけて音を出します。チェンバロはそのためにあまり大きな音を出すのが苦手です。おまけにクレシェンド記号のように徐々に音を大きくしたり小さくしたりすることができませんでした。
バッハがチェンバロ協奏曲を作曲する前は、チェンバロはその構造上、アンサンブルの主役になることはありませんでした。
しかし、バッハが勤務していたケーテンの宮廷に新しいチェンバロが届いてから事態は一変します。つまりこの時からチェンバロがアンサンブルの主役に一躍躍り出ることになりました。理由は推測ですが大きな音量が出せるようになり、オーケストラ全体の音に埋没することがなくなったからではないかと考えています。もっともケーテンのオーケストラは、各パート一人づつの小編成でしたが。
チェンバロ協奏曲と形式は、やがて彼の息子たちや弟子たちに受け継がれて広がっていき、最後にはピアノ協奏曲として発展していきます。
バルダッサーレ・ガルッピ(1706―1785)は日本ではあまり知られていませんが、イタリアの音楽家です。オペラの作曲家として当時はヨーロッパ中にその名が知られていました。
ガルッピは、オペラ以外にチェンバロのためのソナタや弦楽のための協奏曲などの作品も残しています。チェンバロ協奏曲も8曲残しています。
ガルッピがチェンバロ協奏曲を書いた経緯はわかりませんが(多分CDの解説書には書いてあると思いますが、残念ながら日本語による解説は載っていません。)、弦楽合奏を伴う関係上演奏会で演奏されたのは間違いないと思います。あるいはソロはガルッピ自身が演奏したのかもしれません。
ガルッピ自身、J.S.BACHの子供たちと交流があったのがわかっています。案外バッハの子供たちからこの形式の音楽を知ったのかもしれません。
私がガルッピのチェンバロ協奏曲を聞いたのは、かれこれ20年前くらいだと思います。当時NHKFMのクラッシクアワーでライブ録音されたガルッピのチェンバロ協奏曲を放送で聞いたのが初めてでした。
たまにライブ録音した後に、スタジオ録音したCDが発売されることがあります。今回手に入れたガルッピのチェンバロ協奏曲もそのひとつだと思います。
演奏:Accademia dei Solinghi チェンバロ:RITA PEIRETTI
演奏の感想については、バンドの名前の通りと言っておきましょう。
現在、ガルッピのチェンバロ協奏曲全曲のCDはこれ以外にありません。現在中々入手しにくい状態になっています。
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