ヨハン・クリスチャン・バッハのオペラ [バロック音楽]
15歳で父を失い、その後ベルリンの宮廷に仕えていた次男のカール・フィリップ・エマヌエル・バッハの許に預けられます。
二十歳過ぎにイタリアに教会音楽家になるために留学します。これはエマヌエルが末っ子に対して安定的な地位を得られるようにするためだったようです。後にモーツァルトも師事を受けたマルティーニ神父の許で勉強することになりました。もっともクリスチャンにはそんな気がなく、ベルリンにいた時からオペラ作曲家になることを夢見ていました。そして彼はミラノに入ると行動を起こしオペラ作曲の機会を掴みます。そして初めて作曲したオペラはトリノの王立劇場で上演され、一躍クリスチャンは新進気鋭の作曲家としての名声をイタリアおろかイギリスをはじめとするヨーロッパ全域で得ることになります。
しかしながら、面倒を見ていた次男のエマヌエルは末っ子の活躍を苦々しく見ていたようです。兄としては弟の将来を心配してのことだと思ますが、やはり確実な地位にある音楽家になってほしかったみたいです。
もっとも父親のセバスチャンは、逆に彼の出世を予言しており、事実クリスチャンがそうなったことで父親の洞察力の方が次男よりも勝っていたことになる結果となりました。
ヨハン・クリスチャン・バッハは、なかなかの多作家でした。
しかし、やはり彼の作品は50曲近くあると言われているオペラを中心とした劇場作品にあると思います。
残念ながら、現在CDのタイトルとしては、私の知る限り下記の3曲しか今のところないようです。
記憶違いがなければ一番下のオペラ「Amadis De Gaule」は、2012年にパリで再演された時の録音だったと思います。
Johann Christian Bach: La Clemenza di Scipione
- アーティスト: Johann Christian Bach,Hermann Max,Das Kleine Konzert,Jorg Waschinski,Linda Perillo,Christine Wolff,Hans Jorg Mammel,Rhenische Kantorei
- 出版社/メーカー: CPO
- 発売日: 2002/08/01
- メディア: CD
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: Zig Zag Territories
- 発売日: 2012/11/19
- メディア: CD
シュパーニ:カール・フィリップ・エマヌエル・バッハのピアノ協奏曲集第20巻 [バロック音楽]
- アーティスト: C.P.E.バッハ,マールタ・アーブラハーム,ペーテル・シュッツ,コンチェルト・アルモニコ・ブダペスト,ミクローシュ・シュパーニ (ハープシコード),タマーシュ・セケンディ (フォルテピアノ),クリスティアーノ・ホルツ (ハープシコード)
- 出版社/メーカー: BIS
- 発売日: 2014/01/30
- メディア: CD
エマヌエル・バッハは今年生誕300年の年に当たります。
シュパーニさんは、1995年からエマヌエル・バッハの鍵盤楽器(チェンバロ、タンジェントピアノ、フォルテピアノ)と管弦楽のための協奏曲作品全曲を録音し続けています。
今回は、2台の鍵盤楽器のための協奏曲集です。
もうすぐ全曲録音が完成するシュパーニさん偉業に只々頭が下がるばかりです。
みなさんも一度是非エマヌエル・バッハの作品を聞いててみてください。そして父親のヨハン・セバスチャン・バッハの音楽と聞き比べてみるのも一興だと思いますが。
余計な話ですが、私はこのシリーズのCDをVol,1~Vol.20まで2年かけてすべて揃えました。多種多様な作曲スタイルにエマヌエルの作曲家としての自負が感じられます。
シュパーニさんは、ソロ作品の全曲録音も並行しておこなっていますが、残念ながらまだ私の手元には1枚だけしかありません。(Vol.15はソロ作品と鍵盤楽器と管弦楽のための作品の2枚組になっています。)これから徐々に集めていきたいと思っているところです。ソロ作品全集は現在、Vol.27まで発売されています。
ヴィヴァルディ 12の初期ヴァイオリン協奏曲 [バロック音楽]
協奏曲12曲を収録
ショルンスハイムさんのバッハ:平均律クラヴィア曲集 [バロック音楽]
最近聴いたCDより [バロック音楽]
【演奏】
アッカデーミア・ビザンチーナ
オッターヴィオ・ダントーネ(指揮)
【演奏】
フェデリコ・グリエルモ(Vn)
ラルテ・デラルコ
ここで紹介しているCD2種類は、オリジナル楽器を使って演奏されたバッハとヴィヴァルディの作品です。
合奏団はともにイタリアの団体で、正直言って私は今まで全く知らない合奏団でした。
しかし、演奏を聴いてみると本当に魅力的な演奏を聴かせてくれます。
まず両方に共通しているのは、リズムが機敏ではっきりしていること。リズム感がいいので聴いていても気持ちがいい。
1枚目のバッハのシンフォニア集は、バッハの200曲以上もあるカンタータの中から器楽のみで演奏される楽章を集めたCDです。ブランデンブルク協奏曲や無伴奏ヴァイオリンパルティータで聴きなじみのある曲が形を変えて聞こえてきます。ひとつの楽章を色々な形に変えて作品を作っていくバッハのパロディ(編曲)技法を垣間見ることができます。
2枚目のヴィヴァルディの作品6のヴァイオリン協奏曲は、あまり知られていない地味な曲集ですが、みずみずしい演奏で地味な作品集に新鮮な魅力を与えています。先にも書きましたがやはりヴィヴァルディの作品を演奏するにはリズム感がいかに肝心かがわかります。もちろんバッハの作品集もそうですが。
イタリア合奏団によるモダン楽器で演奏されたCDももっていますが、魅力的という点ではここで挙げたCDの方が上に来るとおもいます。
2枚ともイタリアの団体によって演奏されていますがやはりイタリア人気質が現れた演奏と言っていいでしょう。陽気な連中が楽しみながら演奏している雰囲気は聴いている私はまで楽しくさせてくれます。
今、イタリアはソブリンリスクによる経済的危機にさらされていますが、ここで取り上げたCDのように陽気な連中があらわれてきっと危機を回避できるのではないかと思いたくなります。
是非一度聴いていただきたいCDです。
ガルッピのチェンバロ協奏曲について [バロック音楽]
チェンバロ協奏曲(もしくはハープシコード協奏曲)は、音楽史上ヨハン・セバスチャン・バッハが初めて作曲したと言われています。現在ブランデンブルク協奏曲第5番と知られている作品がそれにあたります。
チェンバロはピアノの前身の楽器と言われていますが、構造上まるっきりふたつは違います。ピアノは絃をハンマーでたたいて音を出すのに対してチェンバロは絃をジャックとよばれる爪でひっかけて音を出します。チェンバロはそのためにあまり大きな音を出すのが苦手です。おまけにクレシェンド記号のように徐々に音を大きくしたり小さくしたりすることができませんでした。
バッハがチェンバロ協奏曲を作曲する前は、チェンバロはその構造上、アンサンブルの主役になることはありませんでした。
しかし、バッハが勤務していたケーテンの宮廷に新しいチェンバロが届いてから事態は一変します。つまりこの時からチェンバロがアンサンブルの主役に一躍躍り出ることになりました。理由は推測ですが大きな音量が出せるようになり、オーケストラ全体の音に埋没することがなくなったからではないかと考えています。もっともケーテンのオーケストラは、各パート一人づつの小編成でしたが。
チェンバロ協奏曲と形式は、やがて彼の息子たちや弟子たちに受け継がれて広がっていき、最後にはピアノ協奏曲として発展していきます。
バルダッサーレ・ガルッピ(1706―1785)は日本ではあまり知られていませんが、イタリアの音楽家です。オペラの作曲家として当時はヨーロッパ中にその名が知られていました。
ガルッピは、オペラ以外にチェンバロのためのソナタや弦楽のための協奏曲などの作品も残しています。チェンバロ協奏曲も8曲残しています。
ガルッピがチェンバロ協奏曲を書いた経緯はわかりませんが(多分CDの解説書には書いてあると思いますが、残念ながら日本語による解説は載っていません。)、弦楽合奏を伴う関係上演奏会で演奏されたのは間違いないと思います。あるいはソロはガルッピ自身が演奏したのかもしれません。
ガルッピ自身、J.S.BACHの子供たちと交流があったのがわかっています。案外バッハの子供たちからこの形式の音楽を知ったのかもしれません。
私がガルッピのチェンバロ協奏曲を聞いたのは、かれこれ20年前くらいだと思います。当時NHKFMのクラッシクアワーでライブ録音されたガルッピのチェンバロ協奏曲を放送で聞いたのが初めてでした。
たまにライブ録音した後に、スタジオ録音したCDが発売されることがあります。今回手に入れたガルッピのチェンバロ協奏曲もそのひとつだと思います。
演奏:Accademia dei Solinghi チェンバロ:RITA PEIRETTI
演奏の感想については、バンドの名前の通りと言っておきましょう。
現在、ガルッピのチェンバロ協奏曲全曲のCDはこれ以外にありません。現在中々入手しにくい状態になっています。
ヴィヴァルディの作品番号付作品のCDを全部揃えました。 [バロック音楽]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)は、イタリアバロック音楽を代表する作曲家でありヴァイオリンの名手でもありました。ソロ協奏曲を確立し、3楽章タイプの協奏曲を確立したのも彼の功績です。
ヴィヴァルディは、作品番号付の印刷譜を作品1から作品14まで出版していますが、残念ながらこの中にはヴィヴァルディの名を騙って出版された楽譜もあります。当時のヴィヴァルディの名声はヨーロッパ中に知られており、ヴィヴァルディの名がつくだけで印刷譜が飛ぶように売れたからだと言われています。
次にヴィヴァルディの作品番号付の作品を紹介します。
作品1 | ふたつのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ 12曲 |
作品2 | ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 12曲 |
作品3 | 協奏曲集「調和の霊感」 12曲 |
作品4 | ヴァイオリン協奏曲集「ラ・ストラヴァガンツァ」 12曲 |
作品5 | ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ(4曲)とふたつのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオ・ソナタ(2曲) |
作品6 | ヴァイオリン協奏曲集 6曲 |
作品7 | 協奏曲集 12曲 |
作品8 | 協奏曲集「和声と創意の試み」 12曲 |
作品9 | 協奏曲集「ラ・チェトラ」 12曲 |
作品10 | フルート協奏曲集 6曲 |
作品11 | 協奏曲集 6曲 |
作品12 | 協奏曲集 6曲 |
作品13 | ソナタ集「忠実な羊飼い」 6曲 |
作品14 | チェロと通奏低音のためのソナタ集 6曲 |
このうちフルートでよく演奏される作品13「忠実な羊飼い」は偽作だとされています。
作品14のチェロと通奏低音のためのソナタは、出版社が勝手にヴィヴァルディの作品を集めて出版した可能性があると言われています。(偽作の可能性もあります。)
当時、作品3の「調和と霊感」が発表された時、ヨーロッパの音楽界に大きな衝撃を与えました。J.S.BACHもこの作品に衝撃を受け、内6曲をチェンバロ独奏用やオルガン独奏用に編曲して研究したくらいです。
作品8の頭の4曲は、春、夏、秋、冬のタイトルを持ちます。そのためにこの4曲だけを取り出して「四季」とネーミングしてレコーディングされています。LP時代イ・ムジチ合奏団はこの「四季」を累計100万枚以上セールスしたそうです。
現代、全集を除くと、CDで入手困難なのは作品11と作品12になります。私自身、20年前にイ・ムジチ合奏団のCDを買っていたのでよかったのですが今から集めようとすると大変だったかもしれません。
作品5も中々入手しにくいCDでした。実際入手するのに半年近くかかりました。
それ以外の作品は、モダン楽器による演奏か、オリジナル楽器による演奏かによって入手の困難度が違うと思われます。特に作品6などはあまりお目にかかる機会は少ないかもしれません。
ヴィヴァルディ好きの皆様、最低作品1から作品14まで揃えて持ってみるのもいいかもしれませんね。
- アーティスト: ビルスマ(アンナー),ヴィヴァルディ,マルコン(アンドレア),ガリジオーニ(フランチェスコ),ザネンギ(イヴァーノ)
- 出版社/メーカー: ソニーレコード
- 発売日: 2000/09/20
- メディア: CD
評論家にぼろ糞に言われても・・・・アントニオ・ヴィヴァルディ [バロック音楽]
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)は、イタリアバロック音楽を代表する音楽家の一人ですが、ヴィヴァルディの名前が今日これほど知れ渡るようになったのはつい最近のことです。
バロック時代は、ヨーロッパ中でその名が知られていましたが後にすっかり忘れられた存在になってしまいました。たまたまヨハンセバスチャン・バッハの音楽の復興と共に再発見され今日ではバッハに多大な影響を与えた作曲家として知られています。
ヴィヴァルディは、作曲家であると同時に名ヴァイオリニストでもありました。彼が残した膨大な量のヴァイオリン協奏曲は彼のヴァイオリン演奏技術を雄弁と語っています。
しかし彼は膨大な量の作品を残していますが現在でも評論家たちからはその作品に対して「内容がない」などの批判を受けています。なるほど言われてみればそうかもしれません。でも私にはだからと言ってヴィヴァルディを批判する気にはなれません。彼にしてみれば作品の内容よりも外見的は華々しさを追い続けた結果にしか過ぎなかったからだと思います。それは彼の職務の結果にしか過ぎなかったからかもしれません。
ヴィヴァルディは、司祭でした。髪の毛の色が赤毛であったために「赤毛の司祭」と呼ばれていました。彼が奉職したのがピエタの孤児のための女子修道院でした。赤毛の司祭の務めは彼女たちに楽器の奏法を教えて将来独り立ちできるようにすることでした。証拠と言うべきほどのものではありませんが、彼女たちの演奏会は当時のベネチアの名物のひとつになっていたそうです。ヴィヴァルディにとっては彼の作品が主役であってはいけないのです。あぜなら演奏している彼女らが主役なのですから。(ちょっと褒めすぎかもしれませんが。)
さて、評論家にナンボぼろ糞に言われてもCDのタイトル数ではトップクラスを走ります。つまり現在でもCDに録音したがる演奏者の数が多いことを示しています。作品がに内容が無くても録音したくなる、ある意味珍しい作曲家かもしれませんね。
イ・ムジチの「四季」は、日本国内で通産で200万枚以上をセールスする大ヒット作になりました。日本におけるバロック音楽ブームを火につけたのがイ・ムジチ合奏団でした。
- アーティスト: ビルスマ(アンナー),ヴィヴァルディ,マルコン(アンドレア),ガリジオーニ(フランチェスコ),ザネンギ(イヴァーノ)
- 出版社/メーカー: ソニーレコード
- 発売日: 2000/09/20
- メディア: CD
ロカテルリのフルートソナタ集 [バロック音楽]
Locatelli: Complete Flute Sonatas
- アーティスト: Norbert Kunst,Pietro Antonio Locatelli,Musica ad Rhenum,Marcelo Bussi,Marcelo Bussi
- 出版社/メーカー: Brilliant
- 発売日: 2005/09/27
- メディア: CD
アントニオ・ピエトロ・ロカテルリ(1695~1764)は、イタリア生まれのヴァイオリニストであり作曲家でもありました。
バロック音楽好きの私ですが、名前は以前から知っていましたが作品はあまり知りませんでした。
本来なら彼の真骨頂ともいうべきヴァイオリンの作品を紹介すべきところですが今回はこのCDにしました。
このCD3枚組を手に入れたのはとあるCDショップで、それも在庫処分品としてワゴンに載っていたのをたまたま見つけて買ったのが当たりでした。
ロカテルリというと後のパガニーニに影響を与えたと言われているくらいにヴァイオリン演奏技法に抜きん出た人でヴァイオリン協奏曲を聞くと思わず「凄い」ということになるのですがこのフルートソナタ集は気軽なタッチで聴ける可愛らしい作品集です。
このCDではオリジナル楽器によって演奏されており、フルートの温かみある音色は気持ちをホッとさせてくれます。
- アーティスト: Pietro Antonio Locatelli,Raglan Baroque Players,Raglan Baroque Players,Elizabeth Wallfisch
- 出版社/メーカー: Hyperion
- 発売日: 1994/05/17
- メディア: CD
このCDは、「ヴァイオリンの技法」と名付けられた作品3のヴァイオリン協奏曲集です。このCDを聞くとロカテルリのヴァイオリンの腕前がどれほどかわかりますよ。
BACH家の長男、今年は生誕300年になります。 [バロック音楽]
まずはじめにお断りしておきますが、ここで言うバッハ家というのはヨハン・セバスチャン・バッハの家族のことです。もともとバッハの家系は音楽家の家系でバッハ以外の兄弟親類も音楽家として活躍していました。ある地方では、バッハという名前はそのまま音楽家という意味で通用したそうです。
さて本題
今年は、ヨハン・セバスチャン・バッハの長男ウィルヘルム・フリーデマン・バッハの生誕300年の年に当たります。
生まれたのが、今からちょうど300年前の1710年11月24日です。
肖像画をみるとわかると思いますが父親の堅苦しい肖像画とは違い中々いきなスタイルをしているとは思いませんか。
フリーデマンは音楽家としてはかなりの才能があったらしいのですが父親の期待が大き過ぎたためかどうも人生の方には色々と問題があったようです。
作品も色々と残していますが残念ながら我々がCDで聴くことができる曲数が多くないために正直言って私自身、フリーデマンの音楽の全容を知っているわけではありません。
W.F. Bach: 12 Polonaises; Sonata in D major; Fantasia
- アーティスト: Wilhelm Friedemann Bach,Robert Hill
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: CD